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シュプリーム、スケート、ヒップホップ。いまなぜストリートなのか?

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ストリートカルチャーが再び時代を席巻しつつある。その源流はどこなのか? なぜいまストリートなのか? 2021年に発売された シュプリーム本から読み解く。

こんにちはタカハシです。
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回は次週に予定している特集の予告編です。

ルイ・ヴィトンのメンズ・クリエイティブディレクターにヴァージル・アブローが就任したことは、同メゾンでアフリカ系初のデザイナーという側面もあり、新聞も報じるほど話題になりました。
ヴァージルといえば、オフホワイトで知られるいわゆるストリート的な文脈のなかで注目されてきた人。
ちなみに前任者のキム・ジョーンズもざっくり言えばストリートカルチャーで育った人でした。

そんなニュースが象徴するように、ラグジュアリーとストリートの融合はいまのファッションを知るうえでハズせない現象となっています。

ちなみに、いまストリートと呼ばれているものは、実は80年代〜90年代に勃興したものが源流、つまり30代〜40代の方にとっては、リアルに体験してきたカルチャー。

というわけで、今のストリート×ラグジュアリーという現象を語るうえでハズせない。

こちらをご紹介。

リッツオーリから2021年に出版されたシュプリーム本です。

全300ページを超える、分厚い一冊で、1994年の創業当時のフライヤーから、プロダクト、話題になった広告のビジュアル、表に出ないことで有名な創業者ジェームス・ジェビアのインタビューなど、貴重なコンテンツが満載。
この本をざっと眺めるだけでも、いかにしてストリートファッションが世の中で影響力を増していったか、が分かると思います。

この本を見て思い出すのは、90年代中期からロンドンやNYでスケートを中心としたストリートカルチャーが非常に強い発信力をもっていたということ。
ロンドンには80年代末にオープンした「ギミーファイブ」というセレクトショップがあり、キム・ジョーンズが店員だったことは有名です。
ジェビアも英国人。10代のころはロンドンに洋服を買いに行っていたそうです。
そんなシュプリームの話は特集で詳しくお届けする予定です。

さて、話が少しそれますが、80年代〜90年代にかけてイギリスでは音楽的にも「レアグルーヴ」や「トリップホップ」と呼ばれる新しいムーブメントが起きていました。
その震源地のひとつがロンドンから160km以上はなれた港町ブリストル。
そこでは、グラウンドビートで知られる「ソウルⅡソウル」のネリー・フーパーや、後のマッシブ・アタックのメンバーや、ネネ・チェリーなどがアメリカのヒップホップに触発されながらも、実験的な新しい音を生み出していました。

このヒップホップですが、スケートと同様に、いまのストリートカルチャーを紐解くうえでの重要なキーワードです。

ヒップホップは、70年代後期にアメリカで生まれた黒人ストリートカルチャーの総称ですが、そのなかでも画期的な発明がレコードを2枚使い、任意のビートをループさせるブレイクビーツという手法です。これは後にサンプラーと呼ばれる機材で、楽曲の一部分を取り込むサンプリングという曲作りに発展していきます。いまや当たり前になった、他人の曲の一部を再利用し新しい曲を生み出すという発見は、実に30年以上も前に、路上で生まれたのです。

その発想をファッションに持ち込み、さらに発展させていったのがシュプリームのような、エッジなショップだったわけです。

アメリカで生まれたヒップホップがイギリスへ渡り、さらにさまざまな文化と交わり、進化して、やがて世界中のユースを熱狂させるムーブメントを作り、定着していった。そう考えると、80〜90年代に起こったストリートという現象は20世紀から21世紀にかけての新しい価値観の創出だったのでは? と思います。

というわけで、最後にブリストルで88年にリリースされた伝説的な一枚をご紹介します。